caprinの更生日記

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小泉自民寄りくっきり 20代のココロ (東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050913/mng_____tokuho__000.shtml

 始めに「若者は馬鹿、自民党に入れた奴は馬鹿」という結論があって、書かれた記事のような気がする。そもそもこの人のリサーチで、30人のうち1人だけが自民党に入れたと明言しているが、他の人ははっきりしていない。だから、この人の言う「この何も考えてなさそうな若者達」が本当に自民党ばかり入れたのかどうかは分からないと思う。
 確かに出口調査などの統計では、若者が自民党よりという結果はあったのだろうが、他の世代もパーセンテージは少ないかもしれないが、傾向は似たようなもんだったと思う。実際はどうだったんだろう!?(他の世代には言及されていないので分からない)

 「アイドル政治家症候群 慎太郎、真紀子、康夫、純一郎に惹(ひ)かれる心理」の著書がある矢幡心理教育研究所の矢幡洋所長は「オリンピックやサッカー・ワールドカップとか、日本国中がワーッと一方向に燃えるのと、今回の総選挙の自民党支持は質的に似ている」と指摘する。

 単純にワールドカップみたいに盛り上がっちゃ駄目かな!? 選挙に熱気があっちゃ駄目? いつもは若者はもっと選挙に来いというのに!? それに、ただのTVスポーツ観戦と違って、決定権は自分にあるのだから単に祭り騒ぎで、選択を行うときにそこに思考が無いとどうしていえるのだろうか!?
 私は逆に今回のこの盛り上がりで投票率は70%行かなきゃ日本は駄目だよな〜と思っていたのだが、それを超えることはなかった。ただ、前回に選挙に行かなかった無党派層の上昇15%分は人数にしたら800万人超であり、それだけの人数が「日本をどうにかしよう」と立ち上がっただけでも大いに拍手を送りたいのだけど…。(無論、まだまだ来ない人はいるし、熱が冷めて次回は大幅減というのは良くないとは思う。)
 そして、その中の800万人すべてが若者というわけではない。また、その中の若者が全員、自民党に入れたとは思わないし、ましてや全員が何も考えずに選挙に臨んだとは考えにくい。知識人からしたら、勉強が足りず、吟味は足りなかったかもしれないが、それぞれに選択の基準というものはあったはずだ。

 矢幡氏によれば、近年は、テレビのバラエティー番組のネタになるようなキャラクターのはっきりした人物を常に求めるような雰囲気がある。ライブドアニッポン放送における堀江貴文社長など、すべての事象が「ネタとして面白いかどうか」という同一線上の価値観によって判断されている。週刊誌で取りざたされた女性候補の不倫問題など倫理的な問題でも反響は広がらず、一方で郵政民営化反対派に対する同情も集まらなかった。

 はっきりしたキャラを求めるのは、若者だけじゃないと思うがなあ。実際、ライブドアほりえもんは若者の人気もさることながら、学生闘争の時代を生きた40〜50代の世代の方がより人気があったりする。日頃、中間管理職などで鬱積のたまる世代が、身も蓋もないことをズバリと言ってのける強気なリーダーにあこがれるのは、想像にかたくない。(ほりえもんは、キャラとしては悪役ヒーローなので、女性には人気は無いが。)

 また、郵政民営化反対議員を造反議員として悪者に仕立てあげたのは、マスコミの力も大きいと思うのだがどうだろう。「これが反対議員一覧です。」というところを「これが造反議員一覧です。」と言って、パネルに顔の一覧表を張っていたらそれだけで「ああこれが反対勢力なんだ。おもしろそうだから、落としてやろう。」となってしまうよ。そういうところを無視して、同じマスコミが「若者に優しさが足りない」と言うことには違和感がある。「あなた達は本当に今回、弱者となった者の声も世間に届けたのか!? 」、「公平で正しい選挙報道をし、マスコミにも小さな意見も取り入れる優しさがあったのか!?」と言いたい。
 確かに強者をあがめ、弱者をさらにとことんいじめるという時代の風潮が今回の反対議員に対してあったのは問題だとは思う。だが、普通の倫理観で言えば、不倫議員が落ちるのは当然だろうし、裁判中の鈴木宗男とかを受からすことがいいことなのか、私には分からない。

 「個人が何か強い決断をするというドラマを好むようになった。特に今の二十代は、いじめ問題をくぐり抜けてきた世代で、目立てばいじめられるため角が立つことに対する恐怖感がある一方で、強い者の決断を、内容を問わずにリスペクト(尊敬)する。つまり思考放棄だ」

 リスペクトしたら、思考放棄というのも短絡的だと思うけどなあ。ぶっちゃけの話、若者はいつの時代にも経験の少なさから「愚か」なものと決め付けられているし、ある程度実際そうなのだろう。だけど、このエントリで扱う若者達は「愚か」だから「自民党に入れる」となっていて、「自民党に入れる若者が多いのは愚かだ」とも受け取れそうな記事になっているのは、ちょっと変な気がするなあ。

 で、最後に選挙後のあるアンケート結果をあげておく。これを見ると過激な知識人のマスコミよりも世間の方がよっぽど冷静でちゃんとした判断が出来ているような気がするのだが。


・自民党の大躍進に対して

 勝ちすぎだと思う 56%
 ちょうどいい 33%


・この結果で自民党の動きは強引になるか!?

 不安になる 63%
 不安ではない 33%


 少なくとも過半数の人間が「勝ちすぎ」でこれからの自民党の動きは「不安」だと思っている。「これで良かったのか!?」という疑問は、自民党が勝っても民主党が勝ってもあるもんだ。そして、この世間の目がちゃんと政府に注視されている以上、政府の是非は常に判断されているはずだ。そして、もし世間の期待に自民党が答えられなければ、その反動が次の選挙に反映されるだけの話だ。だから、今は「これじゃあ駄目だ!!」というネガティブな話だけじゃなく、もっとポジティブに「今の体制でどうするか!?」ということをもっと話したいと思う。