caprinの更生日記

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【NGO】日本版ホワイトバンドの問題点 (Badlands ?映画と芝居と音楽と?: )

 昨日に続いてホワイトバンド考。いろいろリンクを辿って見ていくとすでに大分前からいろいろ疑問が投げかかれていたようだ。文章のしっかりした人の言葉は、自分がホワイトバンドの日本公式ページを見たときになぜか感じた居心地の悪さをいろいろ教えてくれる。

http://bonobono.cocolog-nifty.com/badlands/2005/07/ngo_d9ea.html

「なぜ私はホワイトバンドを身につけるのか」で少し触れたように、特に気になるのは売り上げの使い道だ。

 私のもやもやした気持ちを分かりやすく説明してくれている。なかでも売り上げの試算はなかなか興味深い。

すでに述べたように、僕のホワイトバンドはOXFAM UKから直接買ったものだが、朝日新聞の報道によれば、その場合収益の7割が寄付に回るそうだ。OXFAM UKのHPを見ても、僕の探し方が悪いせいか収益の使途に関する記述は見あたらない。だがOXFAM JAPANのHPの記述(後述)を見る限り、割合としてはそんなものだろうと思う。
http://www.oxfam.org.uk/
http://shop.sandbag.uk.com/MakePovertyHistory/Store/DisplayItems.html?CatID=6

ところが日本の「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーンのHPを見ると、more FAQsに次のような記述がある。
http://www.hottokenai.jp/

ホワイトバンドの売り上げは、貧困をなくす活動に使われます。具体的には、売り上げの3割を、貧困撲滅キャンペーンのプロモーションと貧困撲滅を推進するNGOの活動経費のための基金に充てます。原価が3割、流通にかかる経費が4割です。ただし、流通にかかる経費には、貧困撲滅キャンペーンの一環としてメッセージを広める活動も含まれています。また、NGOが直販するものについては、流通にかかる経費がかからないので、NGO自身により7割が貧困をなくす活動に使われます。売り上げの配分等の金銭的情報は、すべてホームページ 上で公開し、透明性を確保します。

一方OXFAM JAPANのHPには次のような記述がある。
http://www.oxfam.jp/

オックスファム直販の場合、300円の定価のうち200円がオックスファムの現地の支援活動に充てられます。

購入場所別に整理すると以下のようになる。

OXFAM UK 1個=1ポンド(約200円)
 3割( 60円)=製造原価他?
 7割(140円)=NGO活動資金

OXFAM JAPAN他のNGO 1個=300円
 3割強(100円)=製造原価他?
 7割弱(200円)=NGO活動資金

書店/TOWER RECORDS他 1個=300円
 3割( 90円)=製造原価
 4割(120円)=流通経費
 3割( 90円)=NGO活動資金/プロモーション費

つまりOXFAMなどのNGOから直接購入した場合と、書店やTOWER RECORDSFrancfrancなどで購入した場合では、NGOの活動資金、すなわち貧困問題の現場で直接使われる金額が愕然とするほど違うのだ。

まずこんなシンプルなシリコン製の輪っかが、なぜ1個90円もするのだろう?  中国製造だぞ。どう考えても、そんなに製造原価がかかるわけがない。

 おっしゃるとおり、私も実物を見たがそんなにするものとは思えない。
 せいぜい原価なら30円だ。で、普通の人ならその残りの270円が貧困国に寄付されるものと考えてしまうよなあ。他の流通や広告費が含まれていないというなら半分の135円をそれに割り当てるとして、残った135円を寄付金にまわすぐらいの内訳じゃないと、自分的には納得出来ない。

残りの3割、NGO活動資金とプロモーション費の割合が正確にどうなっているかわからないが、仮に半々だとすれば、支援活動に当てられる金額は300円のうちたったの45円ということになる。OXFAM JAPANから購入した場合の4分の1以下だ。

結果的に、売り上げの大部分は、広告代理店や流通業者、小売店の利益になるだけではないのか?

何よりも問題なのは、そのような事実をほとんどの人が知らない事だ。

いくらキャンペーンの主眼が、直接的な寄付ではなく、広報/啓発活動だとしても、この状況は見過ごせないものがある。

 結局、内訳は類推するしかないのだが、この公式HPの言ってることを計算に当てはめればそういう内訳にならざるを得ない。この事実はもうちょっとみんなが知らないといけない事実だよなあ。

まず「お金ではなく、あなたの声をください」と言うものの、ホワイトバンドはあくまでも有料で売られている。それはいい。問題は、その価格に正当性があるかどうかだ。声をあげるのはいいし、必要経費としてどうしてもかかるお金をあげるのもいい。だが少なくとも僕は、広告代理店やぴあやTOWER RECORDSを儲けさせるためのお金をあげるつもりはない。TOWERの利益になるなら、CDでもオマケに付けろ。
また「寄付を募ることはゴールではない」と謳っているが、実際には日本のNGOから直販で買った場合なら200円、書店などで買った場合でも数十円は寄付に回る。最終的なゴールではなくても、ホワイトバンドを購入する行為は紛れもない寄付活動なのだ。どう言いつくろっても、その事実に変わりはない。そして寄付者には、寄付金が正しく使われているかどうかを知る権利があるはずだ。

前回も書いたように、チャリティということなら、どちらにせよNGOに直接寄付した方がいいに決まっている。主要目的ではない寄付の使途に、そんなに目くじらを立てるなという人もいるだろう。だが何も知らずに書店や雑貨屋で買っている人たちの大部分は、おそらく「300円のうち最低でも半分は、貧困問題解決のための資金として使われるだろう」と思ってお金を払っているはずだ。
なるほど、HPには確かにそうでないことが明示されているし、明示するだけまだ立派だが、それにしても「嘘はついていないが真実も語っていない」という印象は拭えない。

 うん、私も「半分くらいは、貧困問題解決に使われる。」と思っていたというか、勘違い(ミスリード)していた。そう、確かに公式HPをよく読むとそうでないことが分かる。ただ、それを読んでから判断する人は、私のような暇人か、慎重深い人か、他の人のブログとかでちゃんと吟味する人か、すべての事象において疑心暗鬼な人だけだ。下の階層に書かれている「これはNGOの資金活動に使われる」なんかは、ほとんど読まれることのないソフトウェア同意書みたいなもんだ。

 そして、ホワイトバンドを買った大半はそこまでは読まない確立が高い。で、その人のブログには「いいことをするぞ。」ではなく「いいことをした。」と書かれてあったりする。
 このニュアンスは結構重要かもしれなくて、というのもホワイトバンドで「ほっとけない」を決意表明するのなら実はバンドをつけることはただの始まりでしかなく、このホワイトバンドの主旨をちゃんと理解しているのなら、これからもっと貧困問題を考え「いいことをするぞ。」と書かれてないといけない。なのに、これが「いいことをした。」と過去形になっているのであれば、その大半の人は「お金を払った=寄付をした」と以前の私と同じように勘違いしているのではないだろうか!?
 そして、ホワイトバンドのリンクをたどってみると、この勘違い(ミスリード)はやはり少なくなかった、残念っ!!

 うん、やっぱり私はホワイトバンドよりドラえもん募金の方にお金を出すよ。電話するだけだから形にも残らないし、バンドをつけて友達に見せること(自慢すること!?)も出来ないけれども、そっちの方が健全な気がするからだ。


・関連リンク ホワイトバンドの問題点 (Pukiwiki)
http://www.wikihouse.com/whiteband/

・関連リンク 『しない善より、する偽善 〜 White Band Version』 (kakihara.org)
http://www.kakihara.org/blog/archives/000375.html

・関連リンク ブロガーだってほっとけない世界のまずしさ (さきっちょのガラクタレター)
http://blog.livedoor.jp/sakicchu1228/archives/27115152.html

 このあたりのTBに出てくる人達の意見が、今の若い人の意見としてサンプルとなると思う(例外もあるが。) そして、これらのTBを見ていくと、この行為で「自分が払ったお金は貧困国に行く」と思っている人も少なくないような気がする。

・関連リンク 「ほっとけない」ホワイトバンドの現状 (鯵、環境民俗学ヲ嗜ム)
http://horse-mackerelitation.com/blog/archives/001997.php

 主張が私のものより数段わかりやすくまとまっている。そう、確かに貧困国そのものは「ほっとけない」んだけど……。