小寺信良の現象試考:思い切って放送行政のちゃぶ台をひっくり返してみよう (ITmedia +D LifeStyle)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0806/09/news018.html
現場は認めたがらないが、放送事業への広告出稿が減少し続けているのは、放送にはもうそんなに力はないと社会が判断しているからである。力とは影響力であり、より多くの人が能動的に見るという事実だ。広告主からしてみれば、リアルタイムで見られようが録画で見られようが、目にとまれば関係ない。録画だと飛ばされるというのであれば、CMカットを禁止するのではなく、録画されてるからこそ面白いというCMを企画すればいいだけである。
放送が持ち直すために必要なのは、厳しいDRMによる視聴者の囲い込み規制ではない。以前のように、経済・知的活動がマスメディアによって牽引される平面的な社会だったら、囲い込めば金魚は囲まれるだけだった。しかし今消費者は、ITによってそれ以外の多くの情報をダイレクトに探すことができるようになり、抜け道が上や下にあるということに気づいてしまった。社会構造が立体的になったのだ。
以前と同じようなことをもう一度言うが、放送が斜陽になったのは、デジタル放送のせいではない。これまで積極的にテレビ番組を視聴していた層が、コピーワンスのような利用制限のせいでうんざりしてしまったからだ。本来ならばハイビジョンによる高画質は、その日本人的な高画質・高スペック嗜好から、物理的なネットへの流出制限として動作するはずだった。そんな1番組7Gバイトぐらいあるファイルを、わざわざネットに上げたりするものか。
なんか悪い意味でオラ、わくわくしてきたぞっ!! 放送事業者、コンテンツ事業者、AVメーカー、官僚達がぐちゃぐちゃのしっちゃかめっちゃかで大バトル。消費者はなんか蚊帳の外だから、せめてこの場外乱闘をニヤニヤしながらウォッチするぜ。
■言及リンク 後先考えずにちゃぶ台返されても困る (切込隊長BLOG)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2008/06/post_f1f3.html
「今のダビング10と補償金の議論とは逆方向をシミュレーションしてみたが、なんだか消費者にとってはいいことだらけになってしまった」と言っても、いままで放送局や制作会社が得てきた利益を全部消失して、消費者にタダでばら撒く前提での話なのだから、消費者にとってはいいことだらけになるのは当たり前のことにも思えるし。
「デジタル放送を行政主導で無理矢理始めたのは、経済政策的な意味合いが強かった。しかし実際には、テレビとレコーダーの売り上げで、メーカー間の格差が大きく開いてしまった」とか書かれてもねえ。AV機器業界だけがメーカー過多じゃないから。新しい需要作り出して、それへの対応の優劣で売上が変わるのは自動車業界だろうが建設業界だろうが変わらないから。