caprinの更生日記

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潮目(空気)が変わった? またはデニーズ論序説 (くらやみのスキャナー)

http://d.hatena.ne.jp/kataru2000/20080613/p1

だが先日の秋葉原の事件に対する反応はどうだろう。さすがに容疑者に情状酌量の余地といったような意見こそないものの、容疑者の内面に対する興味と一種の共感や、容疑者のおかれていた環境の酷さに対する、そのディテールを知りたいという、やはり興味と怒りは、ネットのあちこちにかなり多く見られるのだ。僕にいわせれば、容疑者はワーキングプアというほど給料が低かったわけでもなく(もちろん高くもないが)、車が趣味でそれによる借金があったという事実もネット世論にあまりなじまないように思えたのだけど、どういうことだろうか。なんだかネット上の書き手が、いっせいに一昔前のマスコミの姿勢に学んでしまったかのような、くらくらした気持ちになっているのは僕だけだろうか。

 いやー、秋葉原通り魔事件の犯人がヲタクといっても、宮崎勤の時代のヲタクと現在のヲタクが全く違う人種であるように、ネットのなかった時代*1オウム事件とネットの発達した時代の今回の秋葉原通り魔事件では、ちょっと時代が離れすぎていないかなあ。間に酒鬼薔薇宅間守の事件や911テロもあったわけだし、オウム事件がマスコミ報道主導、今回はネット報道・市民による報道が活躍したという違いもある。

 それにサリン事件について大いに語っていた論者もあれから10年以上年齢を重ねているわけで、今ネットで「秋葉原通り魔事件」をあーだこーだ言っている20代はその時サリン事件を雄弁に語れるほど大人では無かっただろう。そして、今の20〜30代の若い人にとっては、オウムは自分達には直接関係ないカルト教団として突き放してみれるけれど、ロストジェネレーションワーキングプアの問題を内包した今回の犯人にはその異常な行動は理解出来ないにしても、気持ちの葛藤についてはココロを重ねられるところがあったのかもしれない。カルト信者の気持ちは分からないけれど、貧乏なヲタクの気持ちは分かるよ……みたいな。

*1:厳密的には95年はネット元年・Windows元年なわけだけど、まだ学術・コンピュータ系のHPが中心でBlogで意見交換という時代ではなかった。